晒す

留学を終えて帰国後しばらくはフリーランスにいろいろな舞台に出ていた時期があった。
いろいろなアルバイトをしていた中、面白かったのが絵のモデル。ララララ裸族な。
二十代前半で体も締まっていたのでまだ人前で見せられた時期。
恥ずかしいのは初めての仕事だけであとは不思議と慣れちゃうもので、時間がきたら服を脱いで群衆のなかにいきポーズをとって晒す。

この自分を晒すって感覚は清々しい感じがした。こう書くと明るい変態みたいな感じがするがそういう意味ではない(安心してください、履いてません)。舞台で演じるってのも同じ感覚だけど何も着ていない分舞台以上か。心の中が真っ白な感じというか(変なこと考えてるとバレちゃうしね)

自分を偽れないある種の諦めみたいな感覚。

猿から人間になって服を着はじめた時(はじめは寒かったからだろうけど)自分と他人の関係性が劇的に変化したんだろう。
そういえばドイツに滞在していたときに友人のダンサー島地保武君と温泉サウナにいったけど、街なかのスーパー銭湯みたいな施設なのに普通に混浴。会社の同僚みたいな男女グループが裸で大真面目な話をしてるのをみると恥の意識がないエデンの園ってこんな感じかと思ってしまう。
しばらく前に「テーブル・エデン」って小品を創ったけど、それはこのバイト経験からか。ブログを書いてみて10年以上前の創作理由に今気づく。


他人によく思われようといろいろな鎧を身に着けてしまうけど、人前で自分の中身を晒しきればなにか新しい関係が生まれるのかもしれない。
リンゴをかじった人間にはもう難しいのかもしれないけど。

ドイツの温泉またいきたいなあ。


HIROYUKI IGUCHI

バレエ振付家・教師 井口裕之のホームページ クラシックバレエ・コンテンポラリーダンスのクラスや振付作品の紹介をしています。

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