妻という友人

東京から移住して七年。昨年11月までお世話になった名古屋のバレエ団を辞め、期待と不安の年末年始。いろいろあったけどこういった世界で正社員としての雇用をして頂き、多くの作品を創作できたというのは感謝をしている。考えることは多く、辞めたことについてはもっと整理がついたら書こうと思う。
殆どベタ付きで職場にいたのでまるで山で七年修行して降りてきた気分。世界がまた目の前に果てしなく広がっていく風景のなかで、隣にいる妻のことからこのブログを始めようと思う。
家族を抱えての離職というのは結構なワンステップなのに、幸い我が妻は楽観的。バレリーナだった彼女は手に職をもっているからかなんとかなると思っているよう。もともと呑み友達だった彼女とは時間があればふらっと二人で呑みに行くような関係だった。友人と結婚したので最初は照れ臭いというか恋人としての距離感をつかめずだったが、自分の価値観に似ているが違う意見をいってもらえる相手が近くにいてよかったと思う。
僕は社会的体裁の為に結婚する必要はないと思うし、子供も持つと幸せな人もいればそうでない人もいるので(僕はもともとやたら子供が好きなので子供がいてよかったけど)家庭への価値観を論じるつもりはないけれど、自分の意見に賛同や助言をしてもらえる人が身近にいてくれるのはとてもありがたい。

日々思いついたアイディアは一人で考えているといつか消えてしまうが妻に話すことで他人の意見が入り形がはっきりとしてくる。作品作りも同じで、はじめは生み出されたばかりで安定していない状態だが、いろんな人に見せるうちに評価され形作られて存在が安定していく。クリエイターにとって人の目や意見というのは絵具を乾かす風というかそんな存在だ。追い風もあれば向かい風もあるけど。

僕が生み出したものに初めに風をあてる人、それが僕のお隣さん。




HIROYUKI IGUCHI

バレエ振付家・教師 井口裕之のホームページ クラシックバレエ・コンテンポラリーダンスのクラスや振付作品の紹介をしています。

0コメント

  • 1000 / 1000